熱傷の障害の程度は, 高い温度のものが皮膚に接触したときほど, そして長時間接触したときほど深い熱傷になります。ですから, 高温(炎など)でもごく短時間の接触では浅い熱傷になりますし, 逆に体温より若干高いくらいのもの(アンカなど)でも長時間接触すると深い熱傷(いわゆる低温熱傷)になります。熱傷は障害が及んだ皮膚の深さによって分 類されます。そしてその障害の深さに比例して治癒に要する期間は長くなります。

熱傷の分類

1度熱傷

障害が表皮レベルに留まったときで, 表面が赤くなってヒリヒリするくらいの症状がありますが, 水疱を形成することはなく, 数日で治癒します。

2度熱傷

この熱傷が一番多い見られます。障害が真皮に及び, 水疱を形成します。1度に近い2度熱傷(真皮浅層熱傷) は2週間くらいで治癒しますが, 3度に近い深い2度熱傷(真皮深層熱傷)は治癒に1〜2ヶ月を要します。


3度熱傷

障害が皮下脂肪まで達した場合で, 表面は焼けて白く見え, 障害が強すぎて水疱はできません。植皮術が必要です。



熱傷は大変です

1. 広範囲(全身体面積の20%以上)になると大量の体液(リンパ液)が漏れ出て,放置すると生命に関わります。入院治療が必要です。

2. 狭い範囲でも, 痛み, 腫れ, 運動制限などでかなりの苦痛を伴います。

3.2度深層熱傷とか3度の熱傷が治癒したあとには瘢痕(硬いこぶのような傷跡)が残ります。瘢痕ができると皮膚本来の弾力性,伸縮性 が失われ, "ひきつり"がおこり, 特に手足では運動制限が生じます。また美容的にも問題が生じます。この瘢痕形成を最小限に抑えるためには植皮術が有効です。

4. 硬くて大きな瘢痕が生じると長い時間(20-30年)の後に皮膚癌を生じることがあります。それを防止するためにも植皮術は有効です。



熱傷を受傷したら

1. すぐに冷却すること。冷却することによって皮膚の損傷を最小限に押さえることができます。時間は3時間以上, 具体的には, 水道水を流しながら,とか, 冷蔵庫の氷をナイロン袋に入れてタオルでくるんで患部に当てる,などが適当です。服が傷にひっついて,脱がすと痛みが強いとき, あるいは広範囲に受傷したときは無理に服をはがさないでその上から冷却しながら医療機関を受診したほうがよろしいでしょう。

2. 受傷直後に患部に, アロエとか, チンク油などを塗布するのは,逆に創を汚染させるだけです。しないほうがよろしいでしょう。消毒も必要ありません。


3. 水疱は,小さければそのまま破らないほうが,痛みが少なくて治癒しやすいのですが, 大きな水疱になると擦れたりしたときに破れやすいものです。ですから, 大きい水疱は清潔操作で, ていねいに内部の水を抜いたほうが, 痛みが少なく,細菌感染をおこさずに早く治癒させることができます。ただ創面に細菌感染をおこすと破れていない水疱でも治癒を遅らせますので, 水疱を破って治療する必要があります。

4. 深い熱傷は, いずれ瘢痕を形成しますので,早めに植皮術をうけたほうがよいでしょう


熱傷は おこさない注意が大切

1.子どもの熱傷は大人のちょっとした油断からおきます。熱傷それ自体の治療も大変ですが, いったん形成された瘢痕の修復は困難を極めます。日頃からの注意がなによりも大切です。


2. アンカなどの比較的低温の暖房器具でも長時間皮膚に接触していると熱傷(低温熱傷)をおこします。低温熱傷は深い熱傷になることが多く, 治癒期間も長くなります。温度を低めに設定すること, タオルなどでくるむなどの配慮が必要です。




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