Google ブログで公開していた, 覚え書きを一部編集したものです。

1, はじめに

FileMakerProというDataBaseソフトがあります。MacでもWindowsでも動くソフトです。このソフトで電子カルテ・レセコンをプ ログラムして, 日々使用しています。かれこれ10年になります。現在, レセプトはオンラインで請求しています。2年ごとに保険規則の大がかりな改訂があるのですが, 今年はかなり時間を取られました。2年と言わず, 自分に使いやすいように, 絶え間なく手を加えているのですが, 初期に設定したものは, なぜ,そうしたのか思い出せない部分も出てきました。この度, 覚え書きの意味で, Fulemakerと電子カルテ・レセコン(レセプト)について書き留めたいと思います。

2. FMbat
今から約10年前, 厚生省がレセプト電算化を全国展開させようとしていたころ, 私もFilemakerで電子カルテ・レセコンを作成しかけていたころで, 地区医師会主催のレセプト電算化推進のためのシンポジウムのような会においてその試作品を発表しました。当時私のプログラミングでは, まだ全自動化を達成できていなかったのです。するとレセコン電子工業会(?)のお偉いさんから「我々はすべての医療者が使えるレセコン,を作っているので あり, 先生のようなアクロバット的プログラムとは本質的に違う....」というコメントをいただきました。言われてみれば, その通りで私用にチューニングしたプログラムです。その言葉をありがたくいただいて自分のプログラムをFMacrobat, と名付けました。今はもう少し縮めてFMbat と呼んでいます。ある程度手を加えたところでversion数を上げているのですが, 現在のversionは 267です。今はほぼ全自動でレセプトを出力しています。

3. 4th-Dimension (4D)

開業当初, コマーシャルレセコン(サンヨー, 富士通など)を勧められましたが, それらは 打ち込んだデータを自由に取り出すことができない, ということでした。いわゆる"囲い込み"です。DataBaseというものは, 本来, データそのものは自由に取り出したり, 取り込んだりできなければいけないはずです。その意味ではレセコンは本当のDataBaseソフトではなかったのです。そこで自分で調べてみるとMacで 動くアーチャンレセプトというレセコンがあることがわかりました。80万円しましたが, それを導入しました。それは4th-Dimension(4D)というDataBaseソフトで作成してありました。レセコンとしての機能は十分で, データも取り出せました。ただ, 文字の大きさとか, レイアウトなど, 若干使いにくいと感じるところがありましたし, LANを利用してのServer and Clientsシステムの使用にはかなりの追加費用が必要だったように記憶しています。当然, それらを自由に変更することはできませんでした。そこで4Dを購入して自分で一から4Dでプログラムを組むことを考えましたが, あえなく途中で挫折してしまいました。初心者にはかなり取っつきにくいソフトでした。そこでFilemakerに患者データを取り込んでFileを作成し 始めたのがFilemakerとのつきあいの始まりだったのです。現在Filemakerはファイル共有機能を使った, Server and Clientsシステムで利用しています。このシステムはもっとも安上がりのServer and Clientsシステムですが,5-6台の同時利用が限界です。でも小医院ではこれで十分快適です。

4. Filemakerの進化

患者Fileから発展して, 小さな電子カルテを作成し, 次第に熱が高じて1998年ころから Filemaker でレセプト自動作成プログラムを企てました。思いついてから約3年かかりましたが,  2001年から電子カルテも作成し, 連動して動く統合プログラムとしました。Filemaker は 最初Macでのみ動くカード型Data Baseソフトとして開発されたものですが, Version 3 から Relational Data Baseへと進化し, まったく別ものと言っていいくらい強力なソフトとなりました。私はちょうどv3の発表が行われたころに作成にとりかかりましたから, 変更に伴うトラブルはありませんでした。このrelational への進化がなかったら, レセコン, 電子カルテをFilemakerで作ることはできなかったものと思います。仮にできたとしても, 2年ごとの改訂に容易には追随できなかったことでしょう。その後もFilemakerはめまぐるしく進化しました。(迷惑なくらい,本当にめまぐるし く...です) それでも v3 から v6までは Dataの管理様式はほぼ同じでしたが, v7になって, 大きく変化しました。ホビー, 小ビジネスから, 中規模業務に耐えるData Base ソフトへと進化していったのです。v7が発表されたころ, 私は大して気にしていませんでした。自動変換プログラムも用意されていましたから,問題なく移行できるものと思っていました。ところが...です, このv7の規格変更は大変に高いハードルであることに, 次第に気づかされました。2009年の今年3月にやっと移行が完了しました。

5. オンライン請求(1)保険ルール改定

このたび 保険規則の大幅改訂が行われました。2年に1回, 大きな改訂が行われます。私は,以前に書きましたように, FilemakerProによる自前のプログラム(FMbat)でデジタルレセプトを出力して, オンラインでレセプト請求しています。つまり, 私はレセコンメーカーと同じ立場にあるので, 診療報酬支払基金の本部から, デジタルレセプトのルール変更の知らせが逐一メールで配信されてきます。重要な変更を見落とさないようにして自前のプログラムに反映させなければなりませ ん。レセコンの使用料を払わなくてよいという利点と, 今後の改訂を自前で乗り切れるかどうかという不安とが背中合わせです。紙レセプトのときは, それでも読めて, 整合性がとれておればよかったのでまだ楽な気分だったのです(それでも印刷とか褊てつとか, それなりに大変でしたが) 。しかし, デジタルレセプトの場合はルールに沿った正確な出力が要求されます。今,Filemakerでレセコンを作って7年, デジタルレセプト提出して3年の経験から, Filemakerはv7以降のNew versionでなくともv6で十分対応できるのではないかと思っています。いまでも, デジタル出力と平行して紙への出力対応も行っていますが, 紙レセプトで提出となると, 最下段に書き出すチェックディジットの出力を最近の仕様に適合させていないので, 本当はもう紙には戻れないのです。ただ, オンラインになって随分助かっています。これはオンラインを始めてみて分かったのですが, オンライン請求すると, ものの30秒もたたないうちに基金の中央コンピュータから添削結果が表示されるのです。"要確認", "受付不能" 何件と表示され, 具体的なエラー内容も分かるのです。ちょうど昔, (インタープリタ型)Basicでプログラムを書いていたときのように, 走らせてみると, xxx行にエラーがあります....という体験と同じです。オンラインのレセプト受付期間は1週間あるので, その間にプログラムを直して再請求すればいいのです。これはラクチンです。これまでは, 基金とか, 国保連合会にFloppy diskを提出して, たくさんのエラーが出たときとか, Floppy diskが読めないときなどは, 電話がかかって来て当日のうちに直して送り返してほしい, と言われたのですから。これはきつかったですね。オンラインでは総括表も不要です。自前でレセコンを作成している方々は早期にオンライン化することをお勧 めします。もっともH22年度からはオンライン請求が義務化されるということですが。

6. オンライン請求(2)レセプト構造

デジタルレセプトは その構造というか, Formatは simple text そのままなので, 簡単な構造なのです, ワープロで読めるし,編集できて, 出力もできます。File名は"receiptc.uke"と決められています。その1件を例示します(架空の基金データ)。Databaseソフトでい うと, 1行が1レコードとなります。項目はコンマで区切られます。(カッコは解釈)

IR,1,31,1,0218824,,グーグル医院,42005,00,0888(20)1290
(医科レセプト,社保,県番号,医科点数表コード,医療機関番号,,名称, 平成20.05月提出, マルチボリューム識別情報, TEL番号)
RE,3,1122,42004,山本 太郎,1,3140325,,,,,,,2083,,,,,,,,,,,,
(レセプト,順序番号,保険種別,平成20.04月診療分,氏名,男,S14.03.25生,,,,カルテ番号)
HO,63133880,800,9977,1,341,,,,,,,,,
(保険情報,保険者番号,記号,番号,診療実日数,点数,    )
KO,46316017,7615537,,1,341,,,,,,
(公費情報, 公費負担者番号,公費受給者番号,,実日数, 点数,    )
SY,6900011,4200425,1,10831013,,01,
(病名, 病名コード,開始日:平成20.04.25,継続,修飾語コード,未登録病名, 主病, )
SY,7262009,4200425,1,,,01,
SI,11,2,111000110,,,,,,,,,
(診療行為, 行為コード, 負担者コード,  )
SI,,2,111012370,,273,1,,,,,,
SI,80,2,120002910,,68,1,,,,,,
GO,1299,1222936,99
(合計:最後のレコード, レセプト件数, 総合点数, )
各行(レコード)の先頭部分の IR, HO, KO, SY, SI, がレコードの種類を表します。 上記以外にも, CO(コメント), TO(特定医療材料)などがあります。病名, 診療行為は羅列します。RE以下SIの行までが1枚の紙レセプトに相当しますから, このセットを繰り返します。最後にGO(合計)レコードを配して完成です。この書き出しルールさえ,理解しておればワープロに手入力してでもデジタルレセ プトは提出できるのです。ただ現実的に1000枚以上もあるレセプトを4−5日の間に間違いなく手入力することは現実的に不可能です。そこで, その作業を自動化するためにFilemakerとか, AccessなどのDataBaseソフトが必要になります。


7. 電子カルテとレセコンの連携

レセプトを自作するとすれば, カルテ部分も電子化して, そこに入力した医師の指示を直接レセプトの入力に利用することはいくつかの点で重要です。もし,通常のレセコンのように, 電子カルテの指示内容をあらためてレセプト(窓口計算ソフト)に入力すると, その読み取りの誤りが生じるリスクが生じ, 時間・労力の無駄が生じます。特に後者の視点は 忙しい医療事務作業ををスムーズに動かすのに欠かせません。逆にその点がうまく動いていると, 窓口事務作業を少人数で動かすことができます。その意味で電子カルテ部分とレセプト部分は密接に連携できるシステムが望ましいのです。実際問題として, その2つのシステムは同一ソフトで作成しないとムリでしょう。電子カルテ部分を正確に入力するという, 医師側の負担が若干増えますが, 重複入力よりは はるかにメリットがあります。
私はFilemakerで電子カルテも作成しているのですが, 基本的には紙カルテのように, 単純テキスト形式で, 病歴, 所見, 処置, 処方, 病名を書き込んでいます。これらのテキスト内容を別個のレセプトFileに いったん転送します。例えば

<病歴>
これまで, 近医で アトピ-性皮膚炎として治療を受けてきたが, 最近 盛り上がるタイプの紅斑が毎日繰り返す
<所見・病名>
全身の皮膚は乾燥傾向で, 躯幹・四肢の各所に掻破痕が多数見られる。
⇒A::APH=3アトピ-性皮膚炎/全身/
⇒A::JMN=2蕁麻疹//
<診察・処置>
*◆/初診/時間内/
*処置セ/皮膚軟膏処置2/
<処方>
*単処方/ALE=アレグラ錠 [60]/2/10/2/
*単処方/HDDS=ヒルドイド[ソフト]/50/1/g/躯幹・四肢/2/
以上のテキスト情報のなかで レセプトFile側で"指示"となる部分をpick upします。"⇒A"とか"◆"とか"*単処方"などの目印と"/"を頼りにpick upします。つまり, 医師が 一度カルテに書き出せば, あとは自動的に窓口計算, レセプト作成のための入力は不要になります。


8.  Color it とFilemaker
Color it は Macのみで動く画像加工ソフトである。OS9までは重宝していた。これは 10年以上前にNikonの .... (記憶不確か)を購入したときに 付属ソフトとしてついてきた。Photoshopという高価な写真加工ソフトの簡易版という位置づけであった。当初はそれほど 使っていなかったが, これが実に使いやすいソフトであることに気がついた。ソフトの大きさはほどほどで, 起動が早く, 必要な機能は過不足なく備えていた。 立体装飾目的の WildRiver, Blade などの Plug-in soft なども重宝していた。私は写真加工よりお絵描きソフトとしておもに利用していたのだが, レイーヤー機能まであって, 実に使いやすく常用していた。MacをOSXで使うが主流になっても, これに変わるお手軽お絵かきソフトを未だに見つけ出せないでいる。この私にとってはMacのキラーソフトなのだ。

私は Filemakerによる電子カルテのイラストfieldに Color itで書いた簡単な診療所見の絵(300x200ピクセル程度)をコピーand ペイストで貼り付けて利用している。Windowsでも問題なく読める。ところが, このColor it が OSXになかなか対応しなかったのだ。それでも classic 機能で OSXでも問題なく動いていたので, 事なきを得ていたのだが, MacOSXがIntel CPUなって, 最新のOS10.5 Leopardでは Classic 機能を放棄してしまった。しばらくは10.4のマシンでなんとか使えるのだが, いずれ対策を考えないといけなくなる。

実は約2年前より Power G4のOSXで nativeに動くColor it v4.5がインターネットで有償ゲットできることは知っていたのだが(日本ではローカライズされていない), これにはレイヤー機能がない, こと, またインターネットで クレジットカードを使いたくない, 等の理由で購入を躊躇していた。それでも 最近, 思い切ってクレジットカードで購入した。OSXでの使用感は Classicのそれと遜色なく, Intel CPUでもRosseta機能で動くので当分簡単なお絵かき程度なら使える, と喜んでいたのだが....

Filemakerとの相性に意外な落とし穴があった。この新しい OSX-Color itで これまでどおりイラストをコピーand ペーストで貼り付けたら, Macマシン上のFilemakerでは問題なかったのだが, Windowsでそれを動かすと,しばらくして, 何かの拍子に突然に, "申し訳ありませんがFilemakerを終了します"という"凍り付くようなmessage"が出て, 異常終了してしまうことがわかった。Fileも異常終了となる。Color itの貼り付けで致命的エラーが生じるようである。同時に開いていた他のFileも破損することがあり。Mac, Winowsマシン混合でFile共有して動かしている当方の環境下では, まったく利用できないどころか, きわめて危険なソフトであることがわかった。おそらくペーストされた画像のFormatがWindowsではまったく認識できないゆえの現象であろう。 Windows2000, XP で試したが, v6, のみならず v7以降のFilemakerでもまったく同じ現象が確認できた。このころ,ちょうどv6の電子カルテをv7への変換作業をMacOSXで試みており, v6のField定義, relationなどを変更しているときだったので, 2-3日間, Color itが原因であることが分からなかった。異常のない時点のバックアップデータに戻って, 丸一日を費やして, 7週間前のデータから再入力という力仕事をやっている最中に, もしや, と思い, Color itに気がついた。その画像を抜き去ったら, 何事も無かったかのようにFilemakerは順調に動いている。
さらに, いろいろやってみたら, Color itの画像をいったん TIFF, GIFなどで保存したあと, "挿入メニュー"で画像のパスを指定すると, Windowsでも問題ないことがわかった。それでも, うっかり コピー and ペーストをやってしまうかもしれない。それで, どの画像が危険な画像かがFilemakerの画面で絵を見ただけではわからないので選択的に取り除けない。 OSX-Color it(v4.5)は Filemakerにととっては危険なソフトには違いない。
とりあえず問題は解決したが, お絵かきソフト問題は懸案のまま残ってしまった。Intel Macで Paralells, Fusionなどの仮想化ソフトによって Mac OS9が 走るようになれば使えそうなのだが...
最近 OSX10.4以上で動く,Colorful Paintという動画ソフトをgetして使っているが, 今のところ問題はない。しかしColor itの使い勝手を上回るほどではない。
@ 追伸
Colorful paintを使ってみると, Macで FMPを操作する場合は, まったく問題なくコピー and ペーストができるのだが, それをWindowsでみると, 画像はまったく表示されず, 何か意味不明な文字が小さく中央に表示されるのみであった。WindowsでのFMPが異常終了しないだけ無害ではあるのだが, これでは役に立たない。結局, Appleの老舗のソフト, AppleWorksのpaintが Color itの代わりになることが分かった。Intel MacではまだRosseta機能で稼働するし, コピー and ペーストで入力した画像はWindows FMPでも問題なく見える。


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