蕁麻疹とは

蕁麻疹とは, 突然に発生し、非常に痒みのつよい皮膚病です。皮疹の特徴として, 初期はかゆみの強い膨疹(ボウシン; はれぼったい紅斑)が典型的ですが, 時間経過とともに淡い紅斑になりますし, 軽症の場合は次第に弱いかゆみを伴う淡い紅斑とか,丘疹のみ出現することもあります。もう一つの蕁麻疹の特徴は, 皮疹が数時間長くとも半日くらいで, いったん消失し, また翌日の同じ頃に皮疹が出現するといったサイクルをとるということです。蕁麻疹のときは皮膚が全般的に過敏状態になっていますので、引っかいたり, こすったり, 熱い湯に入浴したり, アルコールを飲んだり, 汗をかくような運動をした後などに誘発されやすくなります。


蕁麻疹の発生メカニズムは...

血液中のリンパ球が刺激されて, それが産生するアレルギー抗体が一過性に増え, その抗体がが皮膚の肥満細胞に付着し, 活性化され, 肥満細胞内のヒスタミンなどの痒み因子を全身の皮膚にまき散らすことが, 主な病態と考えられます。



蕁麻疹の原因は....

(1)感染症

感染症は全身の免疫状態を大きく攪乱します。それによってリンパ球が刺激され, それが蕁麻疹誘発につながるケースがもっとも多いと考えられます。下痢,嘔吐を繰り返す細菌性の食中毒とか, 発熱を伴うようなウイルス感染症では自覚症状が強く, 蕁麻疹との関連性も推測しやすいのですが, 自覚症状をまったく伴わない感染(特にウイルス)もありますので蕁麻疹との関連性はわかりにくくなります。最近, 胃粘膜に住み着くヘリコバクター・ピロリ菌が慢性蕁麻疹の原因となるという説もありますが, 確定されていません。

(2) 体外から侵入したアレルゲン

昔から食物が蕁麻疹の主原因と考えられてきましたが, 実際にはそのようなケースは少ないと考えられます。吸入で侵入する場合も考えられます。また, その場合は蕁麻疹の持続は短く, 大抵1日で消失します。

(3)薬剤, 健康食品

内服, 注射, 健康食品などによって投与された薬物で蕁麻疹が生じることがありますが,頻度は高くありません。

(4)原因不明の蕁麻疹
疲れ, 精神的ストレスなどで蕁麻疹が出るとも言われています。免疫状態は神経とも密接に関連しあっており, リンパ球が上記の環境下で強く刺激され, 蕁麻疹を誘発することも十分考えられます。

(5)慢性蕁麻疹
蕁麻疹が1ヶ月以上続く場合を慢性蕁麻疹といいます。 1年以上続くこともあります。ほとんどの場合, 一般的スクリーニング検査では異常はなく, リンパ球の持続的活性化状態(原因不明)が主な原因と考えられます。


原因追及のための検査...

蕁麻疹の原因として感染症が疑われる場合は, 発熱, 食欲低下, 倦怠感, などの症状に注目して, 検査を進めます。

食物, 薬物などが強く疑われるケースでは, 血液検査, 皮膚検査などを組み合わせて原因追及が可能ですが, 思い当たるものが何もない場合はかなり困難です。血液を取って抗原(アレルゲン)特異的検査(RAST検査)をする方法もありますが, 陽性結果をすぐに原因に結びつけることができません。例えば, エビに対して血液検査が陽性に出たとき, それは, エビの成分が血液中に入れば, 何らかのアレルギー反応が起きるかもしれない, という意味で, 今の蕁麻疹がエビによって引き起こされているとは言い切れません。


治療...

(1) 原因アレルゲンが思い当たれば,それを避ける。食物,薬物などが原因で生じるものは,摂取後0.5〜2時間で出ることが多いので,疑わしいものはとりあえず中止することです。

(2) 感染症が原因と考えられるときは,その原因治療が優先されます。

(3) 一般には抗ヒスタミン剤の内服がよく効きますが, 内服後2-3時間後に効きだしますので, 前もって定期的に内服するほうが効果的です。ただ,かゆみや,皮疹の出方が非常にが強いときは抗ヒスタミン剤で十分に抑えられないことがあり,この場合は副腎皮質ホルモンの内服,あるいは静注が必要なときもあります。

(4) 蕁麻疹が1ヶ月以上にわたって出没を繰り返すのを慢性蕁麻疹といいますが,この場合は,自分の体から蕁麻疹を抑制する力が出てくるまで抗ヒスタミン剤の内服を続けることになります。ただその場合でも蕁麻疹の強さは次第に減弱してゆきますのでコントロールしやすくなります。抗ヒスタミン剤は副作用が比較的少ない安全な部類の薬剤ですから,長期に内服を続けること自体は特に問題を生じません。




ホーム